酒粕の効能と美味しい食べ方レシピ
秋〜冬にかけては日本酒の新酒の季節。お酒飲みにはたまりません。
しかし、この時期から出回り、お酒を飲まない人にも楽しめて、しかも体にいいのが「酒粕」。その効能が話題になりつつあります。
酒粕ってどんなもの? どんな効果があるの? と言った疑問に、お答えしていきたいと思います。
酒粕ってどんなもの?
日本酒を作る工程で出る「しぼりかす」が酒粕です。
まず米と麹、酵母、水を混ぜ発行させて「もろみ」をつくります。もろみは白濁してどろりとした液体で、このもろみを搾ったものが日本酒の清酒、しぼりかすが酒粕になります。
おおまかに分けると、搾りたての板状の酒粕を「板粕」または「新粕」といい、12月〜3月ごろに出回ります。
板粕をタンクにいれて踏み固め、空気を抜いて4ヶ月ほど熟成させたものが「踏み込み粕」。麹の糖化作用で柔らかく、味も濃くなります。こちらは、漬物用として夏に出回ります。
最近は、日本酒の消費量の減少にともない、酒粕自体も少なく貴重なものになってきています。
大手の酒造メーカーではコストダウンのため粕も溶かして日本酒にいれてしまうものもあり、また酒粕から焼酎を製造するため、という理由もあります。
ところが近年、酒粕にはさまざまな健康への効能があることがわかってきました。
伝統ある発酵食品「酒粕」には、どんな健康効果があるのでしょうか。
酒粕の効能とは?
酒粕の効能の秘密は、レジスタントプロテインです。
酒粕を甘酒状にしたものを、12人の男女に3週間飲み続けてもらったところ、悪玉(LDL)コレステロールの数値が下がっていました。また、お通じの改善も見られました。
これは食物繊維の一種であるレジスタントプロテインの働きです。
レジスタントプロテインは酒粕の原料である米に含まれているもので、脂肪分と結合し、体内への吸収を妨げます。これによって悪玉コレステロール値が下がるのです。
さらに、脂肪分と結合したレジスタントプロテインは、そのまま便として排出されるため、便が柔らかく出やすくなり、お通じの改善につながったと考えられるのです。
酒粕には、血栓を溶かすウロキナーゼやプラスミノーゲンという物質に作用する成分があることもわかってきました。
これは血液の流れを良くし、血圧を下げる作用もあるということで、高血圧から引き起こされる心筋梗塞や脳溢血などのリスクも下げることになるのです。
また、酒粕には、糖尿病を予防・改善する効果もあると言われています。
血液中の糖分・血糖は、インシュリンという成分によって分解され、脂肪となって脂肪細胞に蓄えられエネルギー源となります。このインシュリンがうまく作用せず、血糖値が上がってしまうのが糖尿病です。
酒粕中には、血糖値を下げるインシュリンに似た働きをする成分があることがわかりました。
酒粕に含まれる食物繊維と消化しにくいタンパク質を肥満したラット(実験用マウス)に与え続け、脂肪組織が3割程度も減少したという実験結果もあります。
酒粕の「美味しい」利用法
一般的な食べ方としては、味噌汁の味噌の代わりに酒粕を溶き入れる「酒粕汁」、板粕をそのまま焼いて、砂糖をはさんで食べるおやつもあります。
【食卓の秘密「酒かす」】
また、酒粕に油と塩分を足すと、チーズのような味わいになります。これを利用して、パスタやグラタンなどの料理ができます。
この際、豆乳と合わせると、より滑らかなペーストとして使えますし、豆乳の健康効果も同時に期待できます。
クッキーに酒粕を混ぜ込んだ「酒粕クッキー」も、酒粕を美味しくいただけます。
酒粕には、8%程度のアルコール分が残っています。ですので、お酒の飲めない方やお子さんが食べるためには加熱調理してアルコールを飛ばすことが必要です。
酒粕を美肌パックとして利用する方もいらっしゃいます。
日本酒の蔵の杜氏さんたちの手が白く艶があることから、美容美白効果を期待したものです。実際に、日焼けなどの元であるメラニン色素を抑制される成分が含まれているのです。
酒粕をぬるま湯で溶き、小麦粉で固さを調節して、入浴時などに顔に塗ります。洗い流した後はつるつるもちもち、シミ・そばかすも軽減されると言われています。
様々な効能効果が期待できる酒粕。美味しく利用して、健康に役立ててみてはいかがでしょうか。
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