銀杏の効能とおいしい食べ方-食べ過ぎに注意-

2015年12月13日

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秋の風物詩、銀杏

黄金色に染まったイチョウ並木は、秋の風物詩のひとつでしょう。一面が黄色に輝くその様子は、真っ赤な紅葉とはまた別の魅力があります。

イチョウ並木といえば、東京では神宮外苑、大阪では御堂筋が有名ですね。黄色に染まったそれらの並木を背景に、数々の映画やドラマの名シーンも演じられてきました。皆さんはどんなシーンを思い浮かべますか?

ところでイチョウの魅力は、黄金色のイチョウ並木の他にもう一つあります。それはギンナン(同じく銀杏と書きますが、ややこしいので「イチョウ」「ギンナン」と書くことにします)です。秋のこの時期、焼き鳥屋などで出てくるこのエメラルドのような実は好き好きあるかとは思いますが、一度ハマったらたまらない魅力があるのです。

しかし、ギンナンにはちょっと怖いウワサもあります。「食べ過ぎると、死ぬよ」というのです。これは本当なのでしょうか。

ギンナンとは?

ギンナンはイチョウの種子のことです。

ギンナンの実のなる季節、葉っぱが黄色く染まったイチョウの木の下には、たいてい柔らかく熟れて落ちた実が無数に散らばっています。この果肉(外種皮)が曲者で、踏んづけると靴の裏がベトベトになる上、とてつもない異臭を放つのです。この臭いでイヤな思いをされたことのある方も大勢いるのではないかと思います。また、異臭の他に皮膚炎を起こす成分も含まれているので注意も必要です。

ところで、イチョウには雄木と雌木があり、実のなるのは雌木の方だけなのだそうです。そのため、街路樹に使う際にこの臭いを避けるため、雄木だけを選別して植えているところもあるそうです。

ともあれ、この臭い外種皮をよく洗い落とすと、中から堅い殻の種が現れます。これを干したものがギンナンで、中身は食用にされます。

ギンナンの効能

ギンナンの実は、様々な栄養があることでも知られています。

タンパク質や脂質、鉄分、カリウム、マグネシウム、リン、カロチン、ビタミンB1・B2・Cなどが含まれています。そのため、古くから咳や痰、夜尿症などの薬としても用いられており、滋養・強壮効果もあると言われています。

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ギンナンの食べ方

下処理

まず、ギンナンを食べられる状態にしましょう。

  1. ギンナンの実をバケツの中に入れて果肉(外種皮)を腐らせます(土に埋めて腐らせるという方法もある)。果肉が腐ったら水などで洗いながら中身を取り出します。なお、その際外種皮には皮膚炎を起こす成分も含まれているので注意してください。なお、腐らせずに剝いて水洗いしてもいいです。
  2. 種を天日で乾燥させます。大体1~2週間くらい乾燥させることが必要なようです。
  3. 最後に室内のストーブの前などで乾燥させます。外側が白っぽくなったら完成です。

フライパンで煎る

ギンナンの固い殻を割って中身を取り出します。それをフライパンで煎ります。ちょっと焦げ目がついたくらいが香ばしくておいしいです。

電子レンジで

ペンチなどを使ってギンナンの殻を割ります。それを封筒の中に入れて口をしっかり折り返し、レンジにかけ、500Wで1分程度(分量による)加熱します。中のギンナンがいくつかポンポンとはじけたら出来上がりです。加熱しすぎると固くなってしまうので注意しましょう。

食べ過ぎると…

ただし、栄養価の高いギンナンも食べ過ぎは禁物です。

ギンナン含まれる「4-O-メチルピリドキシン」という有毒成分により、中毒症状を起こすことがあるのです。症状としては、食べ過ぎると1~12時間後に、頻脈・ふらつき・嘔吐・痙攣などを起こし、最悪死に至ることもあるのだそうです。

中毒の原理としては、4-O-メチルピリドキシンがアミノ酸の代謝に関わるビタミンB6の作用を阻害することで、脳内の神経伝達物質「GABA」(γ-アミノ酪酸=ギャバ)の生成が抑制され、痙攣などの中毒症状を起こすと考えられているのです。GABAは脳内でグルタミン酸から脱炭酸によって生成されますが、このときに補酵素としてビタミンB6が必要なのだそうです。ところが、銀杏にはビタミンB6の化学構造に似たアルガロイドが含まれているので、この化合物がビタミンB6の作用を邪魔するのだというのです。

なお、この中毒が起こる危険性のある摂取量は、子供で7~150粒、大人で40~300粒とあります。ただし、この数字はかなり幅があることから分かるように、単純にいくつ食べたら危ないとは言いにくいところがあります。

なお、昔からの言い伝えで、「年齢以上食べたらダメ」とありますが、これって意外と言い得て妙かもしれません。この教えを守っている限り、中毒の危険は少なそうです。

ということで、あまり欲張らずに今年も「秋の宝石」を楽しみましょう。