派遣で働くメリットとデメリット
リーマン・ショックから東日本大震災、そして政権交代、アベノミクスと、景気の動向は激しく動いています。
景気が良くなってきたと感じている企業も多く、雇用状況は回復傾向にあると言われていますが、それを実感できない方も多いのではないでしょうか。
そうした中で選択肢の一つとして考えられるのが、派遣社員という働き方です。
派遣会社に登録し、派遣会社が紹介してくれる企業で働く。正社員雇用を視野に入れる紹介予定派遣という枠もあります。
しかしデメリットがあるのも確か。
メリットとデメリットについて、見て行きましょう。
派遣社員の給与とボーナス
派遣社員の給与は、派遣先の企業から派遣会社に支払われた中から、派遣会社の取り分を差し引かれた金額が、派遣社員本人に給与として支払われます。
派遣会社の取り分の割合は会社によって様々ですし、社員にその割合は示されませんが、おおよそ3割程度と考えて良いようです。
派遣社員の給与は、多くの場合時給制です。時給制ということは、連休などがあればその月の給与に大きく影響するということです。
また交通費とボーナスは支給されないことがほとんどです。特に交通費は、勤務先企業が遠方になるほど給与を圧迫してきますから、契約時には注意が必要です。
どの地域に派遣先の企業を持っているかは、派遣会社によって異なります。自分の働きたい地域に派遣先を持っているかどうか、登録前に下調べをしましょう。
具体的には、派遣の総合検索サイトで仕事を探し、該当の地域の仕事を多く持っている派遣会社を選ぶか、特定の仕事を選んで電話やメールフォームなどで問い合わせをし、その際に得意な地域についても確認するのが良いでしょう。
また検索サイトは、希望の勤務地から絞込検索ができるところを選びましょう。
スキルアップと将来の展望 派遣社員に結婚は難しい?
派遣会社によっては、就業前に研修を行ったり、随時資格などについて相談に乗ってくれたりするところもありますが、多くは社員それぞれが個人で努力するしかありません。また、1カ月〜3カ月など短期の契約も多いので、その場合は収入が安定しないことになります。
逆に言えば、様々な職場を経験できる、自分の働きたい期間や時間帯で仕事ができる、という点はメリットと言えます。
また、あくまでも正社員ではありませんから、責任のある仕事は任されないのが普通です。
責任のある立場で働くことにやりがいを感じる方であれば物足りないですが、責任のない立場で気楽に働きたい、という方にはメリットになります。
逆に派遣社員に責任のある仕事を任せるようなことがあれば、企業として雇用への考え方に問題があるとも言えます。
気になる将来的展望ですが、例えば結婚ということを考えた場合、夫・妻双方が派遣社員というケースは、やはり収入が安定しないのがネックになります。
長期の派遣でも、3ヶ月毎に更新というような場合が多いですし、派遣先の業績不振などで契約が更新されないことも大いに考えられます。
派遣先で自分から勉強して業務の合間にスキルを磨き、紹介予定派遣などで正規社員を目指すことができればいいのは言うまでもありませんが、門戸が狭い現実も見据えなければなりません。
夫・妻のどちらかが正規社員か、家計を助けるためにすぐにでも働きたいというような場合には、派遣で働くという選択肢は大きなものになります。即戦力を求める企業とあなたの希望がマッチすれば、パートなど扶養の範囲内で働いて控除を受けるよりも、収入が増えることがほとんどだからです。
ただし、派遣会社に登録したからといって、すぐに仕事を紹介してもらえるとは限りません。時間に余裕をもった計画をたてることが必要です。
派遣の限界? 3年ルール
現行の派遣法では、政令で定められた26の業種以外は、3年以上同じ職場・同じ業務に留まれないことになっています。
26業種とは、ソフトウェア開発やアナウンサー、事務用機器操作など専門知識や技術を要するもので、これらの業種はいわゆる3年ルールの対象外です。現行法では、これらの業種で3年以上勤務している派遣社員がいて、さらに新たに人材を雇用しようとする場合には、派遣先企業が派遣社員に直接雇用を申し込む義務が発生します。
ただ、これも逆に言えば、いつまでも派遣社員のまま働かなくてはならないケースが多いということになります。
それ以外の例えば事務職などの業種で3年以上雇用し続けようとすれば、3年経過した時点で派遣先企業に直接雇用の義務が生じます。つまりそれだけ正規雇用の道が広がるということでもありますが、残念ながら3年後に派遣社員から正規社員になれる割合は、それほど多くないのが実情です。
つまり3年経てば職を失う、転職を余儀なくされるということを計算に入れた将来設計をしなければなりません。
【労働者派遣法改正めぐり与野党の攻防激化】
2014年秋の臨時国会(11月30日まで)では、前回国会から先送りされた3年ルールの撤廃や、26業種の特例の廃止などが議論されています。この先、派遣がどういう状況に置かれるか、派遣で働くことを考えている方は、注視する必要があります。
また、派遣社員の入れ替わりが激しい職場では、職場での一体感を得ることが難しい場合もあります。
職場環境を重視するタイプの方は、特に短期契約ではそうしたことにも注意したほうが良いでしょう。
まだまだ厳しい雇用情勢、なんとか切り抜けていきたいものです。
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